「これで防げる学校体育・スポーツ事故」シンポジウム(SAFE KIDS JAPAN主催)に参加
2017年8月27日SAFE KIDS JAPAN 主催の「これで防げる学校体育・スポーツ事故」というシンポジウムに当会会長の澤田が出席いたしました。
繰り返されるサッカーゴール転倒事故、組み立て体操事故、ムカデ競争事故に対して予防の提言がされる、大変意義のあるシンポジウムでした。
以下、当会会長の澤田によるレポートとなります。
サッカーゴール転倒事故について、NPO法人Safe kids japan理事長、緑園こどもクリニック院長山中龍宏先生より3つの提言がありました。
1.ぶらさがらない、懸垂しない
2.杭に固定する(100㎏以上の重りで固定)
3.安全な簡易・軽量ゴールの開発・安全基準づくり
この有益な情報を届けるには、やはり子どもの身近にいる人間が知識をもっていなければならないことを実感しました。
すべての危険について言えることですが、その競技をやるときに指導者や学校の先生に留まらず、子ども自身に届けることができるのはやはり保護者なのではないかと思って拝聴していました。
2つ目の組み立て体操については、日本体育大学体育学部教授三宅良輔先生、NPO法人Safe Kids Japan理事、国立研究開発法人産業技術総合研究所人口研究センター所属の西田佳史先生より3つの提言がありました。
1.指導環境にあった高さ(3段以上のタワーは原則禁止)
2.新たな価値観の創造
3.組み立て体操の理論と安全な指導方法の確立
まず危険性を理解し把握をするための時間、またはそれを熟知した上で指導をする人間が圧倒的に足りていないのではと思いました。
運動会の1種目である組み立て体操は体育科目外であり、小学生は原則3段までという規制をかけるにしても行政、教育委員会、学校の判断に委ねられる事となります。しかし、その運動会の1種目で怪我を負うことや負わせることの危険性を、どれくらいの学校関係者が考えているのだろうかと改めて考えると恐ろしくなりました。
いまだ短時間で指導し基準も決まっていないこの運動会の種目を、高さではなく美しさで見せて頂けた日体大体操部の動画には、なるほどと思うものがありました。
3つ目のムカデ競争について、北里大学整形外科東山礼二先生より3つの提言がありました。
1.列の人数を減らす
2.伸縮性の素材で足を結ぶ
3.段階的な練習をする。
この種目については富士市教育委員会の方より、10人未満のムカデを推奨しているという具体的な例があげられていました。
富士市ではムカデ競争は伝統的行事であるらしく、父親世代がやったものを子どもがやるという特別なものであるとの説明があり、やらなければ怪我はしないという考え方だけでよいのかという疑問も投げかけられました。
その方も教師時代にムカデ競争で怪我をした生徒がいて、実体験をともなったお話は胸に残りました。
総じて、大変有益なお話しをきかせていただきました。
ただ、一般の方が、子どもが、保護者が、この情報を持つことこそが何よりの予防になるのではという思いは残りました。
SAFE KIDS JAPANでは、今後も定期的に具体的事故事例についての、科学的、予防的な提言をシンポジウムなどで発信していかれるようです。
(澤田佳子)